プロフィール修正 ②/3 回想法との出会いから~

★回想法との出会い
福祉系の専門学校を卒業して「介護福祉士」の資格を取り、
地元の特別養護老人ホームに就職をしました。
現場で悩んだことは、認知症の方との関わりです。
普通に会話のできる方は、意思疎通ができますが、
認知症で会話がしにくい方だと、問いかけに見当違いな返事がかえってきたり、予想もしない行動がみられたりと、慣れないうちは戸惑ってしまいました。
認知症の方への関わり方を模索していた私は、書店で本を探していき、「回想法」という内容の本に興味をひきました。
回想法とは、昔の話を聞くことで、記憶力の改善や維持、生活意欲を向上させる心理学的な療法です。
昔話をすることで、記憶力や生活意欲の改善につながるのであれば、素晴らしい方法だと感じ、それ以降は積極的に昔の話を引き出すようにしていきました。
★回想法の気づきと展開
回想法を意識して、日頃の会話に取り入れていくうちに
認知症の方は、同じ話を何度もするから困るという考えがありますが、それは間違っていることに気づきました。
何度も繰り返して話すエピソードの背景には、なにか大事なメッセージが秘められていることが分かってきたのです。
ご利用者一人ひとりには、なにか得意だった、自慢したいような過去のエピソードは必ずあるものであり、うまく背景をつかむことができれば、いきいきとした表情で話されます。
そうすることで過去の良い経験の感覚が再現されて、生活意欲にあがってくると実感できました。
得意な話題をもとにお話を聞くことで、その方が大切にしている価値観が徐々にみえてきて、話しを聞くことが苦にならず楽しく受け止めることができるようになりました。
そして、自分が経験したやり方を同僚や先輩にも教えていき、一緒に実践をしてもらうよう声をかけていったのです。
自分一人で話を聞くよりも、多くのスタッフが協力することにより、
現状の大変な姿から想像もつかない過去の歴史を紐解けるようになり、より深くご利用者のことを理解でき、尊敬の想いが自然とわいてきました。
さらに、情報の共有化をすることで
本当に相手の方に喜ばれる、ケアの実践ができるようになりました。

★社会福祉士と大学院への挑戦

自分の興味あることの勉強や学びは楽しくやりがいを感じ、社会人になっても
福祉の勉強をしたいと思うようになりました。
現場の介護だけでなく、障害者、児童などの幅広い福祉の分野での活かせる「社会福祉士」を取得したいと考えるようになりました。
社会人2年目から、日本福祉大学の通信過程に入学をして4年間かけて、仕事と勉強を両立させていきました。
そして、卒業を3月に控えた、29歳の秋に知人の医師と箱根旅行にいき、富士山をみながら温泉につかり将来の夢を語りあいました。
「せっかく専門学校からずっと福祉のことを7年間もがんばって、大学卒業の資格をとれるなら、ワンランク上を目指して、大学院で勉強を続けてみたら」とアドバイスをうけたのです。
5年間の介護経験にて自分だけでなく、同僚にも呼びかけ、その効果を実感していたので、さらに精度を上げていき、回想法について深く研究したいと思うようになりました。
大学院の受験は、大学受験から10年以上たった英語のブランクがあり、かなり大変でしたが、努力の結果、なんとか合格することができました。
リハビリ関係の研究ということで、作業療法士が学ぶ学部へ転入をしました。私以外が、作業療法士という環境のなかで、大学院の生活がはじまりました。
★有料老人ホームへの転職、回想法の実践と研究
大学院に社会人入学することになり、職場から通学しやすい環境にするため、
名古屋市内の有料老人ホームへ転職しました。
この会社は、ご利用者の喜ばれることを実践していくという方針がしっかりしており、
相手の方のニーズにあわせた外出プランを作成して、半日から1日もしくは外出して、スタッフが終日付き添いにて、ご利用者のやりたいことを実現していくことに力を入れていました。
ご利用者のやりたいことを引き出すためにも、
その方の過去の人生をお聞きすることは必須であり、
回想法を活用できるピッタリの環境でした。
ご利用者の方に「ここまでしてくれて、本当にありがとう」と言われたり、喜ばれる姿をみることは、介護の仕事をしていく、やりがいにつながりました。
施設にはいったら、自分のやりたいことはできなくなるのではないかという諦め、こんなことを頼んでもいいかという遠慮も、
小さい夢を実現することで、「今度はこんなことをしてみたい」と、ご利用者の方から要望がでるようになり、生き生きと生活されるようになります。
小さな積み重ねがお互いの信頼関係を深めていきます。有料老人ホームでは、豊かな充実した人生を送るためのあり方を経験させてもらいました。
★大学院の留年とグループホームへの転職
有料老人ホームで勤務しなら、2年半が經過して、回想法に関する研究も佳境をむかえました。
残念ながら修士論文が受理されずに、もう1年留年することに、悔しい気持ちでいっぱいでした。
しかし、ここで諦めるわけにもいかず>、「せっかく大勢の方に協力をしてもらったので、誰がみても恥ずかしくない論文に仕上げていこう」と気持ちを切り替えました。
そんな中、グループホームで管理者をしている友人より
「グループホームでケアマネジャーとして一緒に働いてみないか」と声をかけられました。
認知症の方への小グループ回想法というテーマで研究をしてきたので、認知症の方が生活してみえる施設にて働けることは、研究成果をいかせる環境であると思いました。
お世話になった有料老人ホームの上司や仲間に事情を説明して、グループホームへ転職することになったのです。
32歳の秋にグループホームに転職をして、新しい環境と立場での仕事が
はじまりました。
今までは介護員として、現場の仕事をしてきました。
これからは施設のケアマネジャーとして、入居しているご利用者の介護計画、
しいては、晩年の人生設計を託されることになったわけです。
終のすみかとして、施設に入居される方の生活を24時間、365日年中無休で支えていくことが、施設での介護の仕事です。
ご利用者やご家族の思いをもとに、どのようなサービスを提供するのか、介護をするのかをまとめるのが、ケアマネジャーの役割です。
よいサービス提供の前提となるのは、ご利用者の価値観、好み、生き方、考え方を理解することです。そのためには、施設に入居されるまでの生活を知ることが大切になってきます。
そこで昔の話をお聞きする回想法が役立ち、ご利用者の皆さんにとって納得できる晩年を過ごしていただくケアプランを作成できるようになりました。
回想法は、施設のケアマネジャーとして有効な方法であると確信にいたりました。

2014年1月21日 プロフィール修正 ②/3 回想法との出会いから~ はコメントを受け付けていません ★自己紹介