●第13話 大学院受験を決意、29歳の転機
大学の卒業を3月に控えた、29歳の秋に知人の医師と箱根旅行に行くことになりました。
その時、富士山をみながら温泉につかり将来の夢を語りあいました。
「せっかく専門からずっと福祉のことを7年間もやってきて、大学卒業の資格をとれるなら、もうワンランク上を目指てみては、大学院とかで勉強を続けてみたら」とアドバイスをうけました。
私も勉強する意義を見いだせずに大学中退した頃とくらべて、目的をもった勉強は楽しく、働きながらもっと勉強を続けたいという思いが湧いてきました。
介護の仕事をしている人で、大学院まで行く人はごくわずか、その狭き門にチャレンジして、新しい可能性や世界が広がる自分がイメージできて、とても興奮して自宅にもどってきました。
テーマは認知症の高齢者にたいする回想法です。介護現場で働いて、難しいと感じた認知症の方に
とって、誰でも簡単にとりくめる非薬物療法は、回想法だったからです。そして過去の歴史を知ることは、相手の方の理解が深まります。そうすることで、自然と尊敬の念がでてきて、より良い関係づくりやケアを提供できると、5年間の介護経験より強く実感していました。